ロンドン 徒然子連れ

イギリス ロンドン 駐在員の夫と私、2人の子どもと共に過ごした2年半の備忘録です。

時間が経ちすぎた…備忘録 トラブル編

 さて、ここからはイギリス生活で遭遇した重大なトラブルを綴ろうと思う。書いていくうちにまた当時の心境を思い出して涙が出ませんように。また、恨みつらみなしに冷静に書くことを誓おうと思う。

 

①学校でのお友達トラブル

 現地校を選んだ時点で、ある程度は覚悟していた学校トラブル。しかし、相手が日本人のお友達とは思いもよらなかった…。

 

 現地校に通い始めて1ヶ月が過ぎた頃、ある日長男が「僕、学校、行きたくない」とシクシク泣き始めた。理由を聞いてみると、「今日訳がわからない事で先生にすごく叱られた」という。英語がわからない彼は、なぜ叱られたかもわからないし、何を言っているのかも理解できず、ただしょんぼりしてしまったらしい。

 とりあえず、事の詳細が理解できず、私は翌日、先生に手紙を書いた。内容は、「息子が昨日叱られたと言って泣いていたけど、何かありましたか?どのような理由でしょうか?」みたいな内容だったと思う。

 お迎えに行った時に、先生に聞いたところ、「今日はニコニコしてたし、大丈夫よ」みたいな、しごくあっさりした回答だった。

 しかし、この日を境に長男は時々、帰宅後に泣くことがあった。「友達の悪口はいわない」が信条の長男から根気強く話を聞き、どうやら、英語が理解できないため、通訳したりして助けてくれているお友達に、嫌がらせを受けているらしいことがわかった。

 

 嫌がらせの内容はこうだ。

お友達が先生の英語を故意に間違えた日本語訳で長男に指示→長男は信じて行動→先生に何やってるのと注意される。

あるときは、ちょっとここタッチしてとお友達に言われ、ハイタッチ風にパチンとタッチ→お友達が先生に「彼が叩いた」と言いつける→長男叱られる。なんてのもあったっけ。今書いてみると笑えなくもない…かな。

 

 しかし…難しい問題だ。先生は日本語がわからないからお友達の悪戯に気付かず、うちの息子には彼の助けが必要なのだから。「言語を支配される」これは恐ろしいことだ。長男は傷ついているし、私も当初は怒りが込み上げたものだ。仲良くなりつつあった、日本人ママさんに相談しても、同じ日本人同士、皆トラブルは避けたいものだ。どうしよう、、、そんな時、英語の堪能な日本人ママさんからの助言が!

「きちんと詳細を先生に伝えないと。先生は多分何も気付いてないから。そして今後どうしてほしいか、どうするべきか、先生と話し合わなくちゃダメ。あと、学校ばかりに丸投げすると印象が良くないから、あなたはどのようにケアしたのかもきちんと伝えることが大事だよ」と。さっそく私はその日の夜、電子辞書を片手に先生宛に手紙を書いた。最後には「お話をしたいので時間をください」と付け加えた。夫の手は借りず、ここはまず母が自分の言葉で伝えないと!となぜか息巻いていた。

 

 次の朝手紙を渡したら、お迎えの際に担任の先生に呼び止められ、教室に案内された。

シャイな若い白人女性の先生は、私にわかるようにゆっくり話してくれた。こういう時の英語は、なぜだか理解できるものだ。

 「手紙を読んでビックリした。全然気が付かなかったわ。あなたの息子はすごく明るくて良い子だし、よく頑張ってる。もう彼(お友達)とペアにしないようにするわね。ところでこのこと、相手のお母さんに話した方が良い?」みたいな内容だった。私は頭の中で用意していた英語を引っ張り出して、「ありがとうございます。長男もお友達には助けてもらって感謝しています。また、ご存じの通り、お母さんともお友達なのでできればトラブルは避けたいです。息子は明るいけれど、ちょっと繊細なところがあるので、これからもよろしくお願いします。」と伝えた。

 

 その後も叩かれたり引っ掻かれたりと、ちょっとしたトラブルが続き、さすがの長男も彼とはもうお友達でいられない、という決断をしたようで、そのお子さんとお母さんとのお付き合いはなくなってしまった。よくこういうことがあると、「子どもはお友達との関わり合いから学ぶ」というけれど、息子は何を学んだのだろう…傷ついてしまったことだけは確かだ。親としても早く対処してあげられず、思い出しても後悔ばかりが残る。ただあの時は、「こんなこと忘れちゃうくらい、楽しい思い出をいっぱい作ろう!」と決意したのだった。